こんにちは。パパ育ラボTa室長です。
人生最大の痛みである陣痛から分娩について研究をしていきます。
今回の記事では、まず出産に係る知識や前提情報の整理を行います。
「陣痛」とは? 「分娩」とは? 「破水」とは?
聞いたことがあるものの、なんとなくのイメージではありませんか?
ママは出産に向けていろんなことを情報収集しています。
パパが同じようにしっかりと正しい知識を持ってくれていたら、きっと安心するはず。
これからパパになる方にきっとお役に立てる情報かと思いますので、ぜひ読んでしっかり備えましょう。
ただし、分量が多くなりますので前編と後編に分けてお届けます。
後編はこちらからどうぞ。
陣痛に係る知識の整理
まずは、陣痛について解説をします。
基本的な知識を理解しておけるといざという時にサポートしやすくなります。
陣痛とは?どうして起こる?
陣痛は大きく分けて「前駆陣痛」「本陣痛(分娩陣痛)」「後陣痛」の3種類あります。
ここでは「本陣痛(分娩陣痛)」について解説します。
胎児を子宮の下部(子宮頸部)から産道(腟)を経て徐々に外側に押し出すために発生する、規則的で次第に強まっていく一連の子宮の収縮のことです。
MDSマニュアル家庭版「陣痛と分娩」
なかなか難しいですね。
簡単に言うと、赤ちゃんを外へ産み出そうするための規則性ある子宮の収縮のこと。
陣「痛」と書きますが、痛みが生じている状態だけでなく痛みが止んでいる状態もあり、これらが繰り返し起こっています。
最初は不規則ですが、だんだんと規則的に痛みの周期がやってきて、その痛み周期間隔が15分間隔、10分間隔と短くなっていきます。
最終的には子宮口が10cmぐらいに開くまで表のような間隔で痛みに耐えていきます。
子宮口 | 陣痛の間隔 | 痛みの持続時間 |
0~3cm | 10分おき | 30秒程度 |
3~8cm | 5分おき | 1分程度 |
8~10cm | 2分おき | 1分~2分程度 |
出産の準備の始まり
前駆陣痛(ぜんくじんつう)
「前駆陣痛」とは、本陣痛より前に来る不規則に起こるお腹の張りのこと。出産に向けて体が準備されている段階です。
1回の痛みの間隔は短かったり耐えられないほどの痛みではなかったりすることが本陣痛との違いです。
妊娠後期や臨月に入るとお腹の張りがますます強くなっていきます。これは子宮が収縮しようとお腹の筋肉が緊張して硬くなるためです。これが前駆陣痛・本陣痛に繋がっていくと言われています。
しかし、来るタイミングや痛み方、前駆陣痛から本陣痛までの期間などは個人差があり、前駆陣痛から数時間後に本陣痛が来る方もいれば数週間後に来ることもあります。
パパにできること
前駆陣痛の痛みは人によって様々です。まずパパはママがどんな痛みなのかを理解することが大事です。
前駆陣痛にはどんな痛みがある?
1.生理痛のように下腹部(子宮)がギュッとなる痛み
2.お腹がねじれるような痛み
3.下痢のような痛み
4.生理痛よりは痛いものの我慢ができる程度 etc…
夜間にこのような痛みが発生すると、姿勢がしんどい状況の中より寝つきが悪くなってしまいます。
寝不足に加えて食欲もなくなることで、体力は減少していく一方…。
そのため、ママがなるべくリラックスができるようにしましょう。
パパがママに提供できるリラックス方法は?
1.好きな音楽を流すこと
2.好きなアロマでリラックスをすること
3.マッサージをすること
4.蒸気でホットアイマスクをつかうこと etc…
これらは、本陣痛が始まり分娩室にてリラックスや痛みの緩和に有効です。今のうちにママがリラックスできる方法を探っておけるとよいかもしれませんね!
分娩の始まり
本陣痛
順当にいけば、「おしるし」という茶褐色やピンク色のおりものが出てくると、出産が始まっていきます。数日以内には陣痛が来ると言われています。
ただ、それよりも先に「破水」という赤ちゃんを包む卵膜が破れて羊水が出てくることもあります。その場合は赤ちゃんの細菌感染のリスクがあるため、病院へ連絡しましょう。
陣痛が始まると、初産婦さんか経産婦さんかによっても異なりますが10分間隔になると病院に向かいます。ママは分娩室にて「子宮口」が10cmを目指して陣痛に耐えます。(後述参照)
おしるし
子宮出口の卵膜(羊膜・絨毛膜・脱落膜の3層構造から成る、胎児と羊水を守る膜)が少し剥がれることで起こる出血のことです。血液が混じったおりもののようなものでピンクっぽい色。ただし月経時の出血が起こることがあります。
また、全ての人に起こるわけではなくいきなり陣痛が始まる場合もあります。
破水
卵膜が破れ、子宮内の羊水が外へ出ることです。ご想像をされるような「ばあぁ!」とたくさん出ることもあれば、少しずつ出ることもあります。
破水が起こるということは赤ちゃんを守っている卵膜が破れているということなので、子宮内が細菌感染に陥る可能性があります。そのためできるだけ早く病院に行くようにしましょう。
破水が起こると入浴などは厳禁です。
パパにできること
前駆陣痛同様にどんな痛みがあるのかどうしたら楽になるのかの知識やレパートリーを増やしておきましょう。
本陣痛にはどんな痛みがある?
1.腰が砕けるような痛み
2.どんどん痛みが強くなっていく
3.気絶しそうなほどの痛み
4.鈍器で殴られるような痛み etc…
痛みは人によって様々ですが、男性には到底耐えることができないほどの痛みです。
「鼻からスイカが出てくる痛み」とよく表現されていますね…。
初産婦さんであれば赤ちゃんが産まれてくるまで平均12時間以上、この痛みと戦いながらお産を迎えます。
実際に本陣痛が来てから分娩までの中でパパができるとよいことをこちらの記事でまとめています。
ぜひ、合わせてご参照ください。
出産に係る知識の整理
続いて、出産に関係する言葉や知識についてご紹介します。
分娩について
分娩とは、胎児と胎盤(後産)が子宮から母体の外に出てくることです。
MSDマニュアル家庭版『分娩』
狭義では赤ちゃんが嫡出されること、広義ではその陣痛が来てから胎児・胎盤などがすべて嫡出されて妊娠が完全に終了することを言います。「お産」や「出産」と同じような意味合いで使用されますね。
分娩の方法はいくつか種類があり大きく分けて「経膣分娩」と「帝王切開」の2種類あります。
さらに、経膣分娩の中には「自然分娩」や「無痛分娩」などの方法もあります。
自然分娩(普通分娩)
赤ちゃんが「産道」を通って膣から産まれることを「経膣分娩」と言いますが、医療的な介入を行わないものを「自然分娩」と呼びます。
陣痛促進剤などが用いられた場合でも「自然分娩」と定義します。
無痛分娩(和痛分娩)
経膣分娩の際に生じる陣通の痛みを軽減させる分娩を指します。
「無痛」と言いますが痛みがなくなるわけではなく、あくまでも軽減であることを知っておきましょう。
痛みを緩和させる方法は産院によっていくつかありますが、局所麻酔や鎮痛剤を使用することが一般的です。
無痛分娩を選択できる産院は多くはありませんが、痛みに非常に弱い方は選択肢に入れてもよいかもしれません。予定日を事前に決める「計画無痛分娩」という方法もあります。立ち会える日が限定されている方などにはメリットのある方法かもしれません。
「痛みなく産むため愛情が育まれにくい」という誤った考えや知識を持っている方が一定数いますが、痛みがないわけではありませんし、愛情が育まれにくいという科学的根拠もありません。
一方で、医療的な介入があるため一定のリスクがあることや出産費用が高くなることがあります。
選択肢に入れる際はそのような点も考慮してみるとよいかと思います。
帝王切開
経膣分娩で産むには母体や赤ちゃん自身に生じるリスクが迫った時に回避する医療的な手段が帝王切開手術です。
前回の出産が帝王切開である場合や逆子、多胎児の場合などにあらかじめ手術で産むことを決めておく「予定帝王切開」と分娩時に赤ちゃんの心拍の異常が見られる場合やお産が進まず母子にリスクが発生した場合などに医師の判断によって行われる「緊急帝王切開」があります。
予定帝王切開は陣痛が来る前に行うため、妊娠38週前後で手術します。
緊急帝王切開は誰にも起こりうる可能性がある出産方法です。
立ち会いをするつもりでいた場合も、状況によって緊急帝王切開になることもあります。
突然、帝王切開を行うと告げられたママは不安でいっぱい。パパは自分事が出産する気持ちで医師のお話を聞いたりバースプランを考え直したり、ママの不安が少しでも抑えられるようにママと一緒に考えましょう。
また、厚生労働省によると約20%の方が経験しています。決してネガティヴな方法というわけではありません。「帝王切開になって残念だったね」というような声かけは厳禁です。
一方で、自然分娩で産みたかったママにとってはショックが大きいもの。「楽で産めてよかったね」など、何の意味もなさない言葉だけのフォローはやめておきましょうね。
[参考:国立成育医療研究センター『どうして帝王切開をするの?』]
[参照:厚生労働省『令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況』]
会陰切開(えいんせっかい)
自然分娩では、赤ちゃんが出てくる会陰部分(膣口と肛門の間の部分)が十分に伸びるのを確認しながら裂けないように嫡出します。しかし会陰部の伸びが悪く赤ちゃんが出て来づらい状況になることがあります。
そうなると赤ちゃんに負担がかかってしまうため、早く分娩を終わらせた方がよいと考えられ、助産師と医師の判断によって会陰部を切開します。
ちなみに、裂傷と切開では切開の方が綺麗に縫合でき、傷口も綺麗になりやすいと考えられています。
初産婦さんの場合、平均的に7〜8割ほどは経験されているようです。
まとめ
今回の記事では、陣痛や分娩に係る最低限パパが知っておきたい知識を整理しました。
ママは自分の身体におきることですので今回紹介した知識よりももっとたくさん知識を持っていると思います。ここで得た情報はママのしんどさを理解したり、突然の判断が迫られた時に対応したりするためにご紹介しました。
後編では実際に陣痛から分娩まででパパがどう動けばよいのかを研究しています。ぜひ合わせてご確認ください。